重要な奥歯を失ってしまった場合の治療法
奥歯はしっかりものを噛むために重要な部分です。そんな奥歯を失ってしまった場合、どのような治療法があるのでしょうか?
奥歯を失ってしまった場合の治療法
奥歯は、歯の中で最初に抜歯になる可能性が高い場所です。奥歯は硬い食べ物やお肉などをしっかり噛むためには必要不可欠であり、奥歯がない状態を放置しておくと、前歯に負担がかかり前歯もダメになってしまいます。
前歯を保護するためにも、奥歯でしっかり噛めるようにしておくことが非常に重要です。インプラントは他の治療と比較し、自分の歯に負担をかけずに強固な噛み合わせを回復することができる唯一の治療法です。奥歯を失った際の第一線選択として、これ以上歯を失わないためにもインプラント治療が最適と言えるでしょう。
治療方法
奥歯を失った後の治療法としては次の3つの方法があります。
- インプラント
- ブリッジ(奥に自分の歯がある場合のみ)
- 入れ歯(義歯)
奥歯と奥歯の中間の1本を失った場合の選択肢は3つ
上下の奥歯は、お口の中で最初に歯を喪失する可能性が高い部位です。
特に第1大臼歯を若い時にむし歯で治療し、大人になってむし歯が再発したり、根が破折したりして、抜歯に至るケースが多く見られます。歯と歯の中間の1本を失ったあとの治療法としては、ブリッジかインプラントによる治療が一般的です。
ブリッジの場合、両どなりの歯を削る必要があり、また支える歯に負担がかかるため、いずれその支えていた歯がダメになってしまうことが多々あります。他の歯をこれ以上削らない、抜かない、という観点からみて、インプラント治療が最適な治療と言えるでしょう。
奥歯2本を失った場合の選択肢は2つ
奥歯2本を失ってしまった場合、ブリッジの適応とはならず、入れ歯かインプラントという選択肢になります。この場合、初めての入れ歯のため、違和感が強く使用しない方も多くいます。
反対側でも噛めるので、入れ歯をつけないまま放置してしまうと、今度は反対側の奥歯に負担がかかりダメになってしまうことが多いのです。したがって、2本失った場合でもインプラントにすることで、新たな歯の喪失を防ぐことができます。
奥歯をインプラントにする
メリット・デメリット・リスクについて
メリット
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他の歯をこれ以上抜歯にならないよう、インプラントが守る
奥歯をインプラントにするメリットは他の歯を削らなくて済む、入れ歯のように取り外しにしなくて済むということに加えて、「他の歯をこれ以上抜歯にならないように、インプラントが守る」という点です。奥歯をブリッジや入れ歯にすることは、遅かれ早かれ他の歯の寿命を縮めることに他なりません。
デメリット
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外科的処置、治療期間、治療費
インプラントの欠点は主に3つあり、それは外科処置・治療期間・治療費です。ただし、保険外の義歯やセラミックの白いブリッジにした場合は、インプラントの治療費よりもわずかに安い程度で、費用対効果を考慮すると、インプラントが優れていると言えます。
リスク
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あご骨の中の神経損傷のリスク
下あごの奥歯におけるリスクとして、あごの骨の中を通る神経(唇周囲の知覚司る)の損傷のリスクがあります。術前にCTを撮影し、しっかりと安全域を設け、経験豊富な歯科医師が行うことで、リスクは回避可能です。
上あごの場合、骨のすぐ上の部分に上顎洞という副鼻腔の一部があり、そこに突き抜けてしまうと感染のリスクや副鼻腔炎などの合併症が起こる可能性があります。下あごと同様に術前のCTが必須であり、もし骨量が不足している場合は、上顎洞底挙上術という骨を増やす処置が必要となります。
費用について
インプラント埋入(上部構造まで含む) | 30〜50万円/本 |
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骨造成術 | 8〜15万円/部位 |
サイナスリフト(ラテラルアプローチ) | 20〜30万円/片側 |
ソケットリフト(クレスタルアプローチ) | 5〜8万円/本 |
静脈内鎮静法 | 6万円〜/1回 |
治療の流れ
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問診、CT撮影、写真分析
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治療計画コンサルテーション
治療を進めるかどうかの意思確認を致します。
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術前治療(必要ないこともあります)
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インプラント埋入手術
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抜糸(2週間後)
2週間後に抜歯を行います。必要に応じて義歯調整も行います。
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型取り
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試適
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最終上部構造セット(必要に応じて仮歯を作製します)
症例写真
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右下の奥から2番目の歯を歯根破折で抜歯した患者様です。インプラント・ブリッジ・入れ歯について説明したところ、インプラント治療を希望されました。前後の健康な歯は削りたくない、取り外しは嫌だということで、インプラント治療を選択されました。
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インプラント埋入後のレントゲン写真。
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セラミックの上部構造を装着した状態。
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治療終了後のレントゲン写真。
その他の症例
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右下奥歯2本の治療
【術前の写真】
48歳の主婦の患者様です。 右下の奥歯が欠損していたところに、部分入れ歯を使っていました。 部分入れ歯は食事の際に動いて痛みがあったり、ごまのような小さな物が入れ歯の下に入ってしまうと、 痛くて噛めないという悩みがあったそうです。 口を開けた時に、入れ歯の針金が見えたりと、見た目も気になり、あまり人前で笑うことも少なくなってきたそうです。【術後の写真】
右下の奥歯に2本のインプラントを埋め込み、その上にハイブリッドセラミックの歯が入りました。 入れ歯の時には食べにくかったお餅やするめ、フルーツのいちごも、何の心配もなくたべられるようになりました。 現在は定期健診で半年に1度、お口の状態や噛み合わせをチェックしており、順調に経過しています。 -
ブリッジからの治療
【術前の写真】
55歳の男性の患者様です。 左下の奥歯には十数年前に治療したブリッジが入っていましたが、歯の根が折れて腫れてしまい、痛み出したために相談にいらっしゃいました。残念ながらそのブリッジはもう使えず、歯も抜かなければならなくなったためにどうしたらよいかと大変悩まれていました。 この場合、治療は3通り考えられます。残っている歯を削って再びブリッジにする方法、取り外しの入れ歯を作る方法、そしてインプラント治療です。【術後の写真】
この患者様と良く相談したうえでインプラントを行うことに決まりました。写真はインプラント手術から3か月目にセラミックの歯が入った状態です。今後のメンテナンスを考えて、ねじ止め式の人工歯にしました。今まで以上に噛めるようになって満足いただいたようです。これからは、末永くお口に中でトラブルなく使っていただけるように定期メンテナンスになります。 -
複数の奥歯を長期間失った状態からの治療
複数の奥歯を長期間失い、前歯に過度な咀嚼力の負担がかかってしまったため、全顎的にインプラントを支台とした口腔機能回復が必要となった症例です
【術前の写真】
【術後の写真】
奥歯を何らかの原因により失ってしまい、長期間にわたり咀嚼力の負担が前歯にかかると前歯も歯にひびが入ったり折れてしまい予後が不良となり、また骨の吸収も生じることがあります。術前の口腔内の診査で残っている歯の状態の確認をしてお口全体の確認をする事が重要となります。今回の症例に関しては、上あごは全顎的な口腔機能の回復が必要で、右側の奥歯は骨の吸収が大きかったためサイナスリフトを並行して行いました。下あごはかぶせ物の治療で十分な咀嚼機能の回復をえることができました。 -
重度に進んだ歯周病からの治療
全顎的に歯周病が重度に進んでしまい、審美・口腔機能が失われていたが、ワンデイインプラントにより即日解決した症例です。【術前の写真】
【術後の写真】
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重度に進んだ歯周病からの治療
上あごには多くの歯がありますが、歯周病によってあごの骨がやせてしまって、ほとんどの歯が支えられずにグラグラしていました。下の歯は左右の奥歯がなく、食べ物を噛み砕くことができないため、食事には本当に困っていたことと思われました。また、お仕事をされているため、見た目にも良く、しっかり噛める歯になりたい、というのがご希望でした。【術前の写真】
【術後の写真】